寿司の仕込みで大切にしていることの一つが、魚に合わせた包丁仕事です。当店では、すべてのネタを同じ厚さや形に切るのではなく、身のやわらかさ、繊維の向き、脂の入り方などを確認しながら切り付けています。例えば、しっかりした食感を楽しめる魚と、なめらかな口当たりを生かしたい魚では、包丁を入れる方向や厚みも変わります。また、ネタによっては細かな切れ目を入れ、食べやすさやシャリとのなじみを整えています。塩や酢を使った仕込みについても、素材の風味を隠すのではなく、その魚が持つ香りや旨みを引き立てることを意識しています。こうした工程は、お客様にお出しする一貫の口当たりや余韻にもつながります。華やかに見える寿司ですが、その味を支えているのは地道な下準備の積み重ねです。当店では、素材の状態を見ながら必要な手間を惜しまず、一貫ごとの特徴がしっかり伝わる寿司をお作りしています。ぜひ、ネタごとに異なる食感や味の広がりにも注目してお楽しみください。